地区の行事を済ませて罠を確認。
一つ目の罠は、近くにイノシシが出てた気配があるものの罠は作動せず。
20mほど離れた、もう一つの罠を見に行こうと歩いていると、カキーンと言う音。
小さな尾根を越えたら大きな雄ジカの姿があった。
こないだのイノシシと違って、前足にガッチリと掛かっていた。
頭の高さは、私の顔の位置に近いほどの大型。
家に戻り、仏壇に手を合わせ線香をあげ、ガス管と槍を持って行く。
そして、激闘。
イノシシほどの凶暴さはないとは言え、大きな角を下から突き上げ攻撃してくる。
目の前30㎝ほどを角が走るところまで近寄り眉間を打つ。
イノシシと違い、頭への打突は全く効かない。
角や竹や木が邪魔で難しかったけど、何とか後頚部を打って意識を飛ばし
頸動脈を狙って槍で突く。
血が吹き出し、しばらくして出血多量で絶命。
運び出すために一輪車に乗せようとしたけど、助っ人の父と持ち上げようとしたけど、
あまりの大きさと重さで無理。
一輪車を立てて、すくい上げようとしたけど、それも無理。
なので、隣の家の人に頼んで、何とか一輪車に乗せ運び出した。
そして、綺麗に洗ってやって線香を立て、軽トラックに載せる。
それにしても、物凄いパワーだった。
渾身の力を込めて振り下ろしたガス管は曲がるし、槍も曲がってしまった。
やっぱり、鉄は弱いんで、木製の叩き棒と槍を作らなきゃなんない。
このシカは、知り合いのイタリア料理レストランのタベルナ・サクハタに持って行った。
店でジビエ料理を出したいとかで、イノシシやシカが獲れたら欲しいと言われていた。
私が獲ったシカとしては初めてのものなので、お金に換える気がしなかったのと、
レストランで使い物になる仕留め方が出来ているか自信がなかったんで、
今回は無料で提供。
その代わりと言っては何だが、解体を見せてもらい、解体のコツとか肉の部位とかを
教えてもらった。
胃の内容物を確認すると、笹の葉が大量に出てきた。
このシカも、笹薮の中に仕掛けていたものだったので、私の狙いは当たっていた。
また、仕事や用事の都合を見ながら笹薮に仕掛けよう。
そして、大量の肉を持って帰らせようとするオーナーの気持ちだけを有難く頂戴して、
掌に乗る程度のロースを貰って帰った。
筋膜を取り除き、塩コショウだけで味付けして、オリーブオイルを敷いたフライパンで
焼いて食べた。
これまた美味!
イノシシと同じで、臭みは全くなく、柔らかくて美味しかった。
これなら、店で出してもらえる自信がある。
オーナー、次からは高値で買い取ってねぇ~!
オーナーの知り合いの店でも獲れたら欲しがってるってことだったんで、販売網を
確立して事業展開しようかしらん?
そして、今日も、仕留める時は涙が出た。
オッサンが涙を流し、「早く意識を失ってくれ!」と言いながら鉄パイプを振り下ろし槍で突く。
イルカやクジラはダメで魚は良い。
シカやイノシシはダメで豚や牛は良い。
そんな論理は通用しないし、そう言うならば枯草でも食べていれば良い。
だから、心を込めて食う。
このシカを食べたい方は、タベルナ・サクハタさんに行って下さいませ。