今朝、6時前に自宅裏の林で獣の唸り声が・・・。
窓から見ると、ついさっきまで静かだった林が騒がしく、何かが罠に掛かっていた。
ロープ、掛けや、槍を持って見に行くと、大きなイノシシ。
ただ、餌を探してて掛かったのか、運悪くワイヤーが鼻先に・・・。
足なら、もう一方の足にロープを掛けて動きを止められるけど、どうにもこうにも
動きを止められそうにない。
4本の足で突進してくるし、鼻先からワイヤーが外れでもしたら、こっちが殺されかねない。
何とか苦労しながらも、罠を止めてる竹と別の木を1周させ、ワイヤーの動く範囲を
短くして、気合い一発で突進してくるイノシシの前額部を掛けやで一撃。
直ぐに槍で頸動脈を切って血抜き。
意識を飛ばしてやったんで、頸動脈からは大量の血が噴き出しながらも、目を瞑って
動くことなく静かに息を引き取った。
一輪車に乗せて、自宅に持ち帰り、身体を綺麗に洗ってやった。
そして、仏壇に手を合わせた後、イノシシの頭のところに線香を立て合掌。
体長110㎝の丸々と太った綺麗なメス。
体重は測ってないからわからないけど、今ではトレーニングしてないから低下しているけど、
若かりし頃には120㎏のバーベルでフルスクワットを出来ていた私が、いくら足しか
持つことが出来ないとは言え、持ち上げられなかった。
そして、見よう見真似で内臓を取り除く。
初めての解体だったけど、構造的には魚と変わりがないんで、大きな魚を捌くのと同じ。
身体の外も全く臭くないけど、内臓も全く臭くない。
どちらかと言うと、美味しそうな脂肪の甘い香りがする。
心臓と肝臓は綺麗に洗って保存袋に入れて冷蔵庫へ・・・。
内臓を取り除いた身体は、水槽に入れ冷水に浸けてある。
1日ほど水に浸けた後、解体する予定。
害獣として獲ったものではあるが、獲った以上は美味しく食べてやる。
北大路魯山人が10歳の頃には、牛肉よりも猪肉の方が遥かに高価だったらしい。
ただ、ホントは生後1年以内の未経産のメスが一番美味しいらしい。
東京で猪の仔を「当歳」と言い、上方で「ドンコ」と言うが、私も長ずるに及んで、
その真実なることを経験的に学んだ。
今の味覚から言っても、猪の肉を賞味する時は生後一年の仔猪にかぎる。
もしくは二、三十貫の脂肉に富む猪が美味い。
だから、今では大きな猪に手を出すことはまずない。
北大路魯山人「猪の味」より
古代では、動物の命に止めを刺し、解体する作業は宗教上の高い地位にある者が
担っていた。
そして、その食肉は神からの授かり物として取り扱われていた。
現代の様に情報や人が行き来することのなかった古代にあっても、世界中で
同じ考えがあったと言うことは、厳粛に命と向き合うこと自体が、人間が持つ本能の
一つなのかもしれない。
私は宗教家でも何でもないが、やはり自然と厳粛に命と向き合っていた。
そして、獲れた喜びと命を奪ってしまった罪悪感で複雑な気持ちの今日この頃。